
【執筆・監修】 ある 細胞培養士
筋トレ1年目の細胞培養士です。培養士目線でトレーニングを見たときに感じる事柄を
徒然なるままに語ります。
本気の筋トレでなくても日常生活レベルの運動で体は変わっていく?!
第2回 筋肉は、ただの「力」ではない
筋肉は「通信センター」?
「何のために筋トレをするのか?」
転びにくくなる
重いものを持てる
姿勢が良くなる
基礎代謝が上がる
どれも正解です。
でも、筋肉にはもう一つ、意外な役割があります。それは、体の中に「メッセージ」を送ることです。
筋肉というと、「力を出すための組織」というイメージがあります。
ところが細胞の世界を見ると、筋肉はさまざまな物質をつくり、体のほかの組織にも影響を与えています。
その代表が、「マイオカイン」です。
マイオカインは、筋肉が収縮したときなどにつくられたり、分泌されたりする物質の総称です。
簡単に言うと、「筋肉が動くと、体の中にメッセージが発信される」ということです。
つまり筋肉は、単なる「エンジン」ではなく、体のさまざまな場所と情報をやり取りする、「通信センター」のような役割も持っているのです。
筋肉を動かすと、体全体が反応する
歩いたり、階段を上ったり、スクワットをしたりすると、筋肉が収縮します。
すると筋肉の細胞では、エネルギーの使い方や代謝が変化し、さまざまなシグナルが生まれます。
その一つが、マイオカインの産生や分泌の変化です。
こうした筋肉からのシグナルは、免疫、代謝、脂肪組織、血管など、さまざまな組織との情報交換に関わっていることが研究されています。
マイオカインと体全体の環境の変化
「筋トレをしたから、筋肉が大きくなる」だけではありません。
筋肉を使うことで、体全体の環境が変化する。
これが運動の面白いところです。
だから「筋肉を動かす」
例えば、マイオカインの一つとして研究されているのが IL-6(インターロイキン-6)です。
IL-6は炎症との関係があることで知られていますが、体の中の物質は「善玉」「悪玉」と単純に分けられるものではありません。
どこから、いつ、どれくらい出るのかによって働きは変わります。運動によって筋肉から分泌されるIL-6も、運動時の代謝やさまざまな生理反応に関わっています。
このように、筋肉は「力を出すためだけの組織」ではありません。体全体にメッセージを送る組織でもあるのです。
そう考えると、運動の意味が少し変わりませんか?
「筋肉をつけなきゃ」ではなく、「筋肉を動かして、体に刺激を送ろう」と考えてみる。
激しい筋トレでなくても構いません。
歩く
階段を上る
椅子から立つ
軽くスクワットする
そんな日常の動きでも、筋肉が収縮すれば、細胞レベルではさまざまな変化が起こります。
研究はまだ続いています。
だからこそ面白い。
私たちが「ただ歩いている」と思っている間も、体の中では無数の細胞が情報をやり取りしています。
今日、少しだけ筋肉を動かしてみませんか?
その一歩は、筋肉を鍛える一歩であると同時に、体中の細胞に「今日も動きますよ」と伝える一歩なのかもしれません。
1.Bettariga F, et al. (2024)
Exercise training mode effects on myokine expression in healthy adults: A systematic review with meta-analysis.
1,193人を対象にした運動による複数のマイオカイン変化を検討しています。
2.Pedersen BK, Febbraio MA. (2012)
Muscles, exercise and obesity: skeletal muscle as a secretory organ.
筋肉が運動に応答してシグナルを放出するという概念を説明するレビュー
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