冬の免疫対策

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【執筆・監修】 阿部 博幸
東京キャンサークリニック理事長

医学博士
一般社団法人国際個別化医療学会理事長

日ごとに寒さが身に染みる季節になりました。

生まれも育ちも北海道の私にとって冬は得意な季節のはずなのですが、東京の冬は北海道とは勝手が違い、寒さ管理・体調管理が難しいと感じています。私にとって東京で冬を過ごすコツのひとつは、厚着をし過ぎない、カイロやマフラー、手袋をうまく利用して調整することです。

寒さが免疫力に与える影響

一年を通して特に冬の体調管理大切だと考えています。それは寒さが免疫低下につながる可能性があるからです。今日は具体的に寒さが免疫に与える影響をみてみましょう。

免疫細胞の働きが低下

体温が下がると、免疫細胞(リンパ球)の働きが低下すると言われています。

免疫細胞は体温が適正な範囲と言われる約36.5~37.5℃で最も活発に機能します。体が冷え体温が下がることで免疫細胞の活動が低下し、がん細胞への攻撃力や病原体への防御力が低下する可能性があります。

血流の低下

寒いと体が体温を保つために血管が収縮し、血液のめぐりが滞りやすくなります。特に手足の末梢部や皮膚への血流が減少します。

血液には免疫細胞が含まれているため、血流が減少するとがん細胞や病原体が免疫細胞と接触する機会が減り、がんや感染に対する防御が弱まると考えられます。

粘膜の防御機能の低下

冬の寒い時期には空気が乾燥し、鼻や喉の粘膜が乾きやすくなります。

粘膜には異物や病原体を捕まえて排除する役割がありますが、乾燥するとその機能が低下します。その結果、ウイルスや細菌が体内に侵入しやすくなります。

ストレスホルモンの分泌

寒冷環境は身体にとってストレスとなり、交感神経が活発に働くストレス反応を引き起こします。

この状態になると体を守るためにストレスホルモンのコルチゾールが分泌され、免疫系が一時的に抑制されることがあります。

コルチゾールはストレスを受けたときに体が迅速に反応できるよう、エネルギーを効率的に使用するためのホルモンです。

急性のストレス時にはエネルギーを免疫系よりも、生命維持に直結する機能に優先的に回す必要があります。
具体的には:

  • 心拍数や血圧を上げる(筋肉や脳へのエネルギー供給を増やす)
  • 代謝を調整して血糖値を上昇させる(筋肉や脳がエネルギーとして使えるようにする)

免疫系はエネルギーを多く消費するため一時的に抑制されます。

ビタミンD不足

冬は日照時間が短くなり太陽の光を浴びる機会が減るため、体内でのビタミンDの合成量が少なくなる傾向があります。

ビタミンDは免疫調節に重要な役割を果たしており、不足すると免疫力が低下する可能性があります。

運動不足や食事の偏り

寒さのために屋内にこもりがちになり、運動不足や食事の偏りが生じることがあります。

運動不足や栄養不足は免疫力を低下させる要因となります。

これらのことを頭に入れて、冬の免疫対策を考えていきたいと思います。

冬の免疫対策

体温の管理

何よりもまず体を冷やさない工夫が大切です。

締め付けない暖かい衣類を着用し、特に首・手首・足首など冷えやすい部分を保護しましょう。
自宅では適切な暖房や加湿器を活用し、室温を20~24℃、湿度を40~60%に保つのがいいと言われています。室温が20~24℃というのは低いように思うかも知れませんが、この位の室温は体の自然な体温調節能力が働きやすくなることと、程度な湿度を保ちやすくなります。

冷え対策は雪国育ちの笹田院長のコラムをお役立てください。

感染症対策

冬はインフルエンザや風邪などの感染症が流行しやすい時期です。こまめな手洗い・うがいを心がけ、人混みはなるべく避けるほうがいいでしょう。

栄養と水分補給

栄養バランスの取れた食事を心がけることで、体力維持をサポートします。

特にビタミンCやD、亜鉛など免疫力をサポートする栄養素を積極的に摂取したいものです。
また、冬でも水分補給を忘れないようにしましょう。暖かい飲み物を適度に摂るのもおすすめです。

免疫をサポートする冬のおすすめ食材

ビタミンC 柿、いちご、柑橘類、キウイ、ブロッコリー、パプリカ
ビタミンD 鮭、サバ、イワシ、ニシン、サンマ、きのこ類、卵黄
亜鉛 牡蠣、牛肉、レバー、豆類、ナッツ類
食物繊維 ごぼう、さつまいも、大根、玄米
発酵食品 味噌、酒粕、納豆、漬物、キムチ

※きのこ類は天日干しをすることでビタミンDが増加します。

※食物繊維は腸内環境を整え、発酵食品は腸内細菌をサポートします。どちらも免疫の力をサポートするのに役立ちます。

冬のおすすめ簡単料理

1.鮭のホイル焼き
材料 鮭、しいたけ、エノキ、玉ねぎ、バター、醤油
作り方 アルミホイルに鮭ときのこ、野菜を乗せる。
バターを少量加え、醤油をかけて包む。
オーブンやフライパンで蒸し焼きにする。
ポイント 鮭ときのこ類でビタミンDがたっぷり摂れます。
2.牡蠣の豆乳鍋
材料 牡蠣、白菜、長ネギ、しめじ、豆乳、味噌
作り方 鍋に水を入れ、味噌でベースを作る。
牡蠣としめじ、野菜を加え、最後に豆乳を加えて煮込む。
ポイント 亜鉛やビタミンDが摂れる上、体も温まります。
3.干し椎茸の味噌汁
材料 干し椎茸、水、豆腐、わかめ、味噌
作り方 干し椎茸を水に入れ冷蔵庫で半日ほどかけて戻す。
干し椎茸の戻し汁と干し椎茸を火にかけひと煮立ちさせ、豆腐、わかめを加え味噌を溶かす。
ポイント 干し椎茸のビタミンDと味噌の発酵食品効果で免疫力アップ。
4.鶏肉と大根の煮物
材料 鶏肉、大根、生姜、醤油、みりん、砂糖、炒め用油
作り方 フライパンか鍋で鶏肉を油で炒める。
大根と生姜、調味料を加え柔らかくなるまで煮る。
ポイント 生姜で体を温めつつ、鶏肉のタンパク質も摂れて一石二鳥。

適度な運動

適度な運動は血行を促進し、免疫機能を高めます。

天気の良い日には散歩をしましょう。
室内ではストレッチやヨガなどを取り入れてみましょう。

心のケア

冬は日照時間が短くなるため、気分が落ち込みやすくなることもあります。心の健康を保つために次のことを意識しましょう。

  • 例えがんなどの病気を患っていたとしても、病気をしているのは体です。あなたの心は健康でいつだって自由です。時間を作り、趣味や好きなことに没頭してください。
  • 誰かと定期的に会話をしたり、いつも行くお店などで顔見知りの人に会ったら、気さくに話しかけ会話を楽しみましょう。

冬の免疫対策はいかがでしたでしょうか。
これからの寒い季節に免疫力を落とさぬよう、体と心の両面から自分を大切にいたわり快適にお過ごしください。

東京 九段下 免疫細胞療法によるがん治療
免疫療法の東京キャンサークリニック
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