免疫療法でのがん治療なら東京キャンサークリニックの癌治療コラムがん温熱療法 – 熱や熱エネルギーを使ったがん治療

温熱療法 – 熱や熱エネルギーを使ったがん治療

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【執筆・監修】 阿部 博幸
東京キャンサークリニック理事長

医学博士
一般社団法人国際個別化医療学会理事長

温熱療法の歴史は意外と古く、腫瘍の治療に最初に熱が使われたのは、今から5000年前の紀元前27世紀ごろ、古代エジプト時代にイムホテップにより施されたと言われています。以来、さまざまな方法で熱を利用した治療法が行われてきましたが、生体電磁気学の発展によりヨーロッパを中心に温熱療法は急速に進化してきました。

日本ではがん治療に温熱療法を取り入れている施設は少ないため、温熱療法についてご存知ない方も多いかと思います。そこで今回はがんの温熱療法についてお話しさせていただきます。

現在がん治療で行われている温熱療法は、「全身温熱療法」と「腫瘍温熱療法」の2つに分けることができます。

全身温熱療法とは

遠赤外線や温浴などにより全身の血流を上げ、代謝を促し免疫の力を高めようとするのが全身温熱療法です。

全身を加温することで、熱ストレスによって誘導されるヒートショックタンパク(HSP)が増加して、次にあげるような効果が期待できます。HSPは種類がいくつもあり、それぞれ体に作用するメカニズムが異なりますが、特にHSP70という物質が最も熱に誘導されると言われており、細胞内のミトコンドリアや小胞体、細胞質の中に存在しています。

期待される効果

  • 細胞の修復
  • 免疫の増強
    (具体的には:白血球の増加、がん細胞の攻撃部隊であるNK細胞、T細胞、B細胞の増加と活性化の促進、樹状細胞の活性化の促進)
  • 炎症の抑制
  • がん細胞の抗原提示を増強

がん治療の補助療法という位置づけ

全身温熱療法は局所的にがん細胞を死滅させるための治療ではないので、がん治療の「補助療法」という位置づけになります。また、この後にお話しする腫瘍温熱療法に比べて穏やかな温熱療法と言えます。

実際のがん治療現場では、中心となる治療(手術、放射線治療、抗がん剤などの標準治療や免疫細胞療法)と併用することで、その治療の効果を高めたりや標準治療の副作用の軽減することを目的に取り入れています。
また、がんの再発予防やQOL向上を目的に全身温熱療法を取り入れることもあります。

使われている医療機器は、主にドーム型やマット式の遠赤外線による機器や温水を利用するものなどがあります。当院ではマット式の機器を使用しています。

今のところ健康保険が適用になるものはなく、自由診療で提供されています。

腫瘍温熱療法(オンコ・ハイパーサーミア)とは

局所的に熱エネルギーを腫瘍の深部まで確実に届け、その熱エネルギーで直接がん細胞を破壊する治療が腫瘍温熱療法です。根本的ながん治療となるので、他の温熱療法と区別するために当院ではオンコ(腫瘍)・ハイパーサーミア(温熱療法)と呼んでいます。

当院で行っている腫瘍温熱療法は、温熱療法の本場であるヨーロッパの機器を導入して治療を行っています。

ラケットのような形をした2つのアンテナで患部をはさむように固定して、13.56MHzの高周波(ラジオ波)によるエネルギーを疾患部にピンポイントで送ることでジュール熱を発生させ、がん細胞をアポトーシス(自然死)させるものです。

正常細胞には影響がなく、また、体の表面を加熱するわけではないので、火傷の心配はほとんどありません。

治療の時の姿勢は、装着するアンテナとの兼ね合いもありますが、ベッドの上で横になっても起きていても、あるいは椅子に腰かけていただいてもいいといった具合に、患者さんにとって楽な姿勢で過ごしていただけます。

血液のがんを除き、脳を含むあらゆるがんに使用できます。

ジュール熱とは

電流が流れるときに途中に抵抗があると発生する熱です。
腫瘍温熱療法による治療の場合、電流を流すと腫瘍が抵抗となり、そこに熱が発生します。腫瘍組織の中のがん細胞は細胞分裂が速く、活発に働いているので健康組織に比べてイオン濃度が非常に高い状態にあります。つまり導電率が高いので、がん細胞周辺に電流が集まり、そこにジュール熱が発生します。

治療の指標は「温度」の時代から「熱エネルギー(熱量)」の時代へ

がん細胞は42-43度で死滅すると言われていますが、当院で行う腫瘍温熱療法の場合、この温度は1つの指標にすぎません。腫瘍温熱療法の治療で重要なことは、患部がどれだけ熱エネルギーを吸収したかということになります。従って治療の一番の指標は熱量になります。

従来型の腫瘍温熱療法で使われる機器は、「がん細胞が死滅する温度」にこだわるために、大きな電力を60分位出し続けることで、患部温度を42-43度に保持し、がん細胞を死滅させようとするものです。健康保険が適用になるため導入していた時期がありましたが、残念ながらこの方法では治療の効率が悪いばかりでなく、患者さんに火傷や苦痛を強いるものでしたので、その後、現在の機器に変更いたしました。

熱エネルギーの吸収量に着目し、最新の理論のもとに作られたこの温熱機器は、ヨーロッパでECマーク認証を取得しています。残念ながら日本では未承認のため健康保険適用外となり、自由診療で提供しています。

期待される効果

  • がん細胞の死滅
  • 腫瘍の縮小

腫瘍温熱療法には全身の血流がとてもよくなるという副次的作用があります。熱ストレスにより誘導されたヒートショックタンパク(HSP)が働きだし、全身温熱療法と同様に次の効果を期待することができます。

  • 細胞の修復
  • 免疫の増強
    (具体的には:白血球の増加、がん細胞の攻撃部隊であるNK細胞、T細胞、B細胞の増加と活性化の促進、樹状細胞の活性化の促進)
  • 炎症の抑制
  • がん細胞の抗原提示を増強

がん治療の中心的治療として、もしくは補助療法として

腫瘍温熱療法は全身温熱療法と同様の効果も期待できるため、当院では腫瘍温熱療法を単独で行う以外にも、次のように活用しています。

免疫細胞療法と併用

  • ヒートショックタンパク(HSP)により免疫細胞が増殖・活性化することがわかっています。腫瘍温熱療法と併用することで、免疫細胞療法の底上げが期待できます。
  • 多価樹状細胞ワクチンは樹状細胞に指令を受けたT細胞が、がん細胞表面の「がん抗原」を目標に攻撃をしかけます。HSPはがん細胞表面の「がん抗原」を表面に持ち上げる働きをしてくれるので、腫瘍温熱療法を併用することでT細胞が効率的にがん細胞を叩くことが期待できます。

抗がん剤との併用

  • 血流が多くなることで抗がん剤と併用することで、少量の抗がん剤でも高い効果を期待できます。

再発予防として

  • 全身の血流がよくなるので、免疫の力を高めたり、痛みの軽減といったQOLの向上にも役立てられます。
  • 温熱療法は発汗作用がありますので、水分補給をしてもらいながら治療させていただいております。

    最後に

    一部の温熱療法が保険適用になっているものの、ほとんどの温熱療法は自由診療にて提供されているため、多くの皆様にとってはなじみがなく、ハードルの高いものに感じるかもしれません。

    しかし、太古の昔から熱をがん治療に利用する試みがあったように、熱や熱エネルギーを利用する温熱療法は、誰もが取り入れるべきがん治療の一つではないかとさえ思っています。

    特に、標準治療は侵襲性の高い治療が多いため、QOLを高めるという観点からも温熱療法の併用が望ましいと考えます。

    このコラムを書いている今は夏真っ盛りですが、毎日シャワーで済ませずに、のぼせない程度にゆっくり湯船につかり、免疫を高めてくださいますようお願い申し上げます。

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