【執筆・監修】 阿部 博幸
東京キャンサークリニック理事長
医学博士
一般社団法人国際個別化医療学会理事長
がんを治療する上でとてもやっかいな浸潤、転移、再発についてお話いたします。
浸潤とは
浸潤というのは、がんが原発巣から水が浸み込むように隣の臓器や組織まで広がっていくことをいいます。一般的には、がんが大きくなって浸潤が起こり、浸潤によって、がん細胞が血管内やリンパ管内に入り込みます。
転移とは
このようにして、がん細胞が原発巣を離れて血管やリンパの流れに乗り、違う臓器にたどり着き、そこで増殖を始めることを転移と言います。
早期がんの場合やがんと診断されていない人でも、血液を調べると(CTC:血中循環腫瘍細胞カウント検査)がん細胞が見つかることがあります。
血液中をがん細胞が流れていても、ほとんどの場合、免疫細胞によって排除されますが、まれに、それがどこかの臓器に定着して増殖を始めることがあります。ですので、早期がんであっても転移がないとは言えないのです。ましてや進行したがんであれば、転移があると考えた方がよいでしょう。
再発とは
浸潤や転移により、がん細胞が増殖することを再発と言います。再発には大きく分けて3種類あります。
(1)局所再発
原発巣で再びがんが大きくなってくることです。がん幹細胞を取り残していたり、微小ながんが残っていたりすると、それが増殖してくることがあります。
(2)領域再発
原発巣の近くのリンパ節に転移したがんが増殖し、大きくなるものです。早期がんでもこの危険性は非常に高いので、手術のときには、しばしばリンパ節まで切除することが行われます。
(3)遠隔再発
原発巣から離れた臓器に転移し増殖したがんです。この場合は、がん細胞が全身に回っている可能性がありますので、標準治療での治癒は困難となってきます。
がんの転移や浸潤による再発を防がない限り、本当の意味でのがん治療とは言えません。現代医学は、ここで大変な苦労をしています。残念ながら、まだここを解決する術は見いだせていません。
転移、再発したがんの治療
がんの転移や再発にはがんの親玉と言われるがん幹細胞の存在が関わっていると考えられています。
がん幹細胞を叩かない限り、がんを根絶させることは難しいと考えられており、がん幹細胞を標的とする様々な治療の開発が進んでいます。
私たちは樹状細胞を利用したがんの免疫療法を長年にわたり研究しています。
がん幹細胞を含むがん細胞は、細胞表面にがん特有のがん抗原(がんの目印)を出した分子を発現しています。樹状細胞はこの抗原情報を免疫細胞の一種であるキラーT細胞に伝えることによって、活性化したキラーT細胞ががん細胞を見極めて攻撃します。
そのため、外科的な除去が難しい浸潤したがんや転移巣、血液を流れるがん細胞も攻撃対象となるので、転移・再発がんの治療や転移・再発の予防的治療に役立てられると考えています。
当院で提供している免疫療法は、再生医療に関連する法令の下、厚生労働大臣認定の再生医療等委員会の審査を受け、承認を得た後、厚生労働大臣へ提供計画を提出し受理された上で、自由診療で提供しています。
東京 九段下 免疫細胞療法によるがん治療
免疫療法の東京キャンサークリニック
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