無明が病気や苦しみの根本原因

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【執筆・監修】 阿部 博幸
東京キャンサークリニック理事長

医学博士
一般社団法人国際個別化医療学会理事長

私たちは病気に掛かると「なぜ、どうして私が」とやり場のない気持ちに押しつぶされそうになることがあります。

そして気持ちの整理がつかないまま、様々なことを決めていかねばならないこともあろうかと思います。

特にがんと診断された場合は、やり場のない気持ちに加えて恐れや絶望、悲しみの気持ちを抱く人も少なからずいらっしゃいます。しかしそれは、がんやがん治療についての情報をあまり持っていらっしゃらないからだと考えます。

未知のものは誰にとって不安や恐れの気持ちを抱かせます。

がんについての教育が義務教育に取り込まれたのはつい数年前になりますので、がんに興味がある人以外は知識を得る機会はありませんでした。また、体の仕組みや病気のことなど本来すべての人が知るべきことは、医の道を志す人以外は教育を受けるようにはなっていません。

日本ではがんが死因の1位であり、年々その数も増えているにも関わらず、ほとんどの人は何の知識もないままがんと診断され、丸腰のままがんと付き合っていくことになるのです。

チベット医学が説く病気や苦しみとは

2002年夏、私はチベットの青海省でチベット医学のワークショップに参加する機会に恵まれ、チベット医学の基礎から診断、治療について学びました。

その時、チベット医学では無明が病気や苦しみの根本原因だと説いていることを知りました。
無明とは仏教用語で無知や物事の本質を悟っていないこと、という意味になります。

私たちが無明な状態でいることが、怒り、妄想、貪りという3つの毒を生み出し、この3つの毒が体に影響を与えバランスを崩し病気や苦しみとなってしまうという考えです。

憎悪の気持ちや勝手な思い込み、欲求や欲望を抱くということをしたくはないと思っていても、私たちが今生きている世界は簡単にそうなってしまう環境に作られてしまっています。

ですから自分がこれら3つの毒を生み出していないかと、常に客観視して毒を認識していくことです。そして認識したら手放すこと。この方法は、日ごろから人の利益になることを行い(布施)、人を慈しみ(慈悲)、物事の本質を見極める力-気づき(智慧)を培っていくことで育まれると仏教では教えています。

私は大自然の中で育ったためかアニミズム的思想があるので特定の宗教や信仰はもちませんが、チベット医学の基盤になっている仏教の考えに触れたときに、とても共感できるものがありました。

がんとは恐れるものなのか

がんになってしまった時、嘆き悲しむ気持ちを切り替えて、がんとは何なのかをまず知りましょう。

がんはがん化した細胞の集団(塊)です。がん細胞はもともと自分の正常な細胞ですから、そんなに怖がったり、冷たくしたりしないでください。がん細胞とて正常な細胞のままでいたかったはずです。しかし、いろいろなことが重なり正常でいられなくなりがん細胞と呼ばれるものになってしまったのです。

健康な人でも毎日数千個のがん細胞ができると言われています。それでもすべての人ががんになるわけではありません。それは体に免疫という生体防御システムが備わっているため、免疫細胞よってがん化した細胞が排除されるようにできているためです。

書店で“免疫を上げる食事”とか“免疫を上げる生活習慣”などといった雑誌や書籍をよく見かけますが、免疫の素晴らしさを理解すれば自然と病気から遠のくことができると考えられるからではないでしょうか。たとえ病気になったとしても医者に頼り切りにならないで、免疫の力を借りるために自分なりに工夫して生活することで快復を早めることに繋がると思います。

物事の本質を知れば恐れることはない

ある程度がんやがん治療について知識がついてくると、医師の話もより理解しやすくなり、医師との対話のなかで治療の選択や今後の見通しについて自分なりに思い描けるようになるはずです。

がん治療は日進月歩しており、がんは不治の病ではなくなりつつあると私は考えています。

最初にどんな治療を選択するか、再発予防のためにどんな治療をするかで、その後が大きく変わってしまうことがあります。あらゆる選択肢の中から納得できる治療を最終的に自分で決定する必要があります。治療後の人生を生きるのは貴方なのですから。

無明を克服して、病気や苦しみから抜け出しましょう。

東京 九段下 免疫細胞療法によるがん治療
免疫療法の東京キャンサークリニック
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