【執筆・監修】 阿部 博幸
東京キャンサークリニック理事長
医学博士
一般社団法人国際個別化医療学会理事長
「病は気から」ということわざがあります。
病気は気の持ち方次第で、良くもなれば悪くもなるという意味ですが、これは「プラセボ効果」と「ノセボ効果」を説明するのにふさわしいことわざです。
プラセボ効果とは
プラセボ効果という言葉を耳にしたことがあるかと思います。薬効成分を含まない偽物の薬(プラセボ)を、薬として患者さんに飲ませて病状に改善がみられることをプラセボ効果と言います。特に医師から「とても良く効く薬だ」と言われるほど、プラセボ効果が高いと言われています。薬を飲めば良くなるという思い込みや安心感によるものです。
ノセボ効果とは
プラセボ効果とは逆に、医師から薬の副作用を説明され、偽薬にもかかわらずその言葉に過剰に反応して、副作用の症状が現れることをノセボ効果と言います。まさに「病は気から」状態です。薬剤や医療者に対する不信感がある場合も、薬や治療の効果が減少する傾向にあります。これもノセボ効果です。
こうした効果にはもちろん個人差はありますが、気の持ち方次第で、私たちの体がこんなにも素直に反応するとは興味深いと思いませんか。プラセボやノセボについてお話すると、いつも思い出すのはポジティブな心で治療に臨んだ人のエピソードです。
前向きな気持ちで治療に臨むということ
少し前のことですが、ある婦人誌のがん特集で勇気づけられる記事が掲載されていました。
それは現役のファッションモデルをされているがんサバイバーの方のお話しでした。
彼女はリンパ節のしこりを見つけたものの、がんとは診断されずにそのままにしていたところ、1年半後にホジキリリンパ腫の末期がんと診断を受けました。自然療法で治療を行うことを検討したものの、子供の頃から玄米菜食のマクロビオティックを取り入れており、肉は食せず、飲酒もしないという生活をしていたので、自然療法をやっても末期の進行がんには効かないのではと考えたそうです。
そして彼女は抗がん剤による治療を選択されました。
治療に対して少しでも疑問があるといい方向にいかないと考え、やるならポジティブにと、抗がん剤が太陽のエネルギーのように自分の味方になると信じて、半年にわたる過酷な抗がん剤治療に臨まれました。
肝臓が薬を分解するのを助けると言われているオゾン療法を併用したり、抜け始めた髪の毛を思い切ってスキンヘッドにしたりと前向きな気持ちで過ごされて、なんと半年後には完治になったそうです。
現在もその方はさらに美しく輝きモデルのお仕事をされていているようです。
目の前のいくつもの選択肢を自分で考え、自分の選択を信じ、すべてをポジティブに変換していく彼女のがん治療への向き合い方は、とても参考になるのではないでしょうか。
プラセボ効果やノセボ効果にみられる心身の素直な反応を活用し、ポジティブな結果を引き出すためのポイント
- 治療について疑問があれば医師や看護師に相談しながらひとつひとつクリアにして、不安な気持ちをなくしましょう。
- 治療を受けると決めたら、その治療と医師を100%信頼して前向きな気持ちで治療に臨みましょう。
- 気持ちのどこかに治療に対する抵抗感が消えない場合があるかも知れません。病気は体のバランスの崩れによるものですから、その治療は再びバランスを整えるためのものと思ってみてください。
ご家族の方も患者さんの想いを尊重して、後押しするようにしてあげてくださるといいですね。
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